自分自身へ贈る言葉〜この1年を振り返って〜
“あなたがあなたであるために”
3月〜6月
あなたは初めての就活に挑戦しました。
OBのいないたくさんの企業へ出向き、多くのインターンに参加して知見を広げてきました。
誰も頼ることなく自分なりに試行錯誤してエントリーシートを作製し、自己分析、面接対策も全て自分の力で挑戦してきました。神経をすり減らし、どんなに忙しくてもスケジュールを調整し、日本各地を飛び回りました。いろんな人に出会い、いろんな経験を積み、ついに就職する会社を自分の考えを持って自分で決めました。
6月〜7月
あなたは初めて交通事故に遭いました。
就活が終わって本格的に研究室での卒業研究が始まりました。何もわからない、知識も少ない、1度で実験を覚えることができずに毎日毎日怒られ、毎日毎日苦しいそんな日々が続きましたね。理不尽なこと、自分の研究室だけ縛りが厳しくバイトすらできないこと、いつも夜遅くまで残らされること。
「なんで自分だけが...なんでやりたくもない研究をこんなに苦しみながら絶えないといけないのか...」
他人と自分の環境を比べては言いようもない怒りを覚え、
「あなたは今までどんな教育を受けて来たのか?あなたの親があなたをどんなふうに育てて来たのか...。別に私はあなたが卒業できなかろうがどうなろうが知ったこっちゃないよ...。」
人格否定、卒業単位をチラつかせての脅し、卒業研究とは関係のない雑用etc...
こんな毎日にあなたは精神的にダメージを受け、
「次の日が来るのが怖い。なんのためにこんな日々を過ごすのか」
毎日の睡眠時間が2,3時間しか取れなくなるほど疲弊しきっていました。
そして...
登校途中に車に轢かれてしまいました。
『あの瞬間を覚えていますか?』
ゆっくりと車が近づいて来て、自分の体にめりこむ瞬間を。
「あ、死ぬかも...でも、このまま...楽に...」
あなたは明るくて、友達も多くて、決して悩み事を人には漏らさない人でした。
「自分はそんなキャラじゃない。自分は常に明るく振る舞っていないと」と。
そんなあなたが
『唯一人生で死を覚悟し、死んでもいいと思ってしまった』瞬間を。
あなたは朦朧とする意識の中、うずくまり、血を吐きながら、ぐちゃぐちゃになった自分の口から声を出すことも出来ずに気を失いました...
交通事故から3日後には飲み物しか摂取できず、ろくに話すこともできないほどに口が開かない状態に加え全身打撲と頭痛に耐えながら研究室へと足を運びました。
もうその時のあなたは廃人のような状態でしたね。
ただただ恐怖に怯え、何をされるのか、どんなふうに明日を過ごせばいいのか。
何も分からなくなってしまっていましたね。
自分を見失ってしまった状態で、来る日も来る日も嫌味混じりの小言を聞かされ続けていましたね。
でも、そんな状態であってもあなたは1日たりとも遅刻せず、休まず、毎朝9時から夜遅くまで研究室に通い続けました。
9月〜12月
心身ともに疲弊したあなたは学校でもそれ以外の場所でも誰とも触れ合うことなく、話すことなくただただ下を向いて毎日を過ごしていました。
いつも1人でご飯を食べ、いつも1人で通学していました。
それはもうかつての明るいあなたではなく、感情がなくなってしまった1人の人間でした。
そんな私を遠くから見ていた後輩たちが飲み会に誘ってくれましたね。
あの時は、あなたは参加する気力はなかったと思います。
しかし、心のどこかで「助けて欲しい、どうにかして欲しい」という思いから後輩の家へと足を運んだのを今でも覚えています。
いつぶりのお酒だろうか...
いつぶりの会話だろうか...
お酒もたいして強くないくせに、飲み慣れない赤ワインをボトル2本分浴びるように体に流し込み、盛大に吐き散らかしていましたね。
そんな状態でも後輩たちはすぐさま掃除や介抱をしてくれ、そして「私たちが少しでも役に立てて良かったです」と優しく言ってくれました。
あの時はあなたの心が救われる瞬間でしたね。
「ありがとう。ありがとう。」何度も心で感謝の言葉を繰り返していました。
1月〜3月
ついに卒業研究も終盤戦に差し掛かり、6月の頃に比べてズタズタにされたメンタルに耐性がついて来たのを実感しましたね。
「他人と自分を比べないこと、誰に何を言われようが自分自身を肯定すること」
一皮剥けた自分がそこにはいました。
朝9時から21時まで卒業論文を書き続ける毎日をだんだんと耐えられるようになり、ついにはそれが苦しいとも辛いとも思わないほどに習慣化することが出来ましたね。
気持ちの整理、メンタルコントロールがあってこそだと思います。
そして2月28日の卒業論文発表をもって、長すぎた1年間の研究室での卒業論文制作に幕を閉じました。
本当にあなたはよくやり切りました。
休学、中退まで考え、死んでもいいとさえ追い詰められた精神状態からよくぞここまで来れました。
あなたは自信を持ってこれからの社会生活へと飛び出せるでしょう。
今のあなたを作って来たのは他でもない『あなた自身』です。
決して『自分自身』を疑うことなく、信じて生きていきましょう。
これからのあなたの人生
「第2章」の幕開けです。